
六月十六日
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TRIPS
緑の小金沢を歩く
七月の梅雨のあい間、鮮やかな緑を、小金沢のぶなあり、笹あり、苔ありの尾根でたのしむ。

朝八時十分発の登山バスに乗り、登山口である小屋平へ。大半の乗客は大菩薩峠を目指し、小屋平で降りたのは二人だけだった。今日のコースは、尾根筋の石丸峠まで約一時間。その後尾根をたどって小金沢山、牛の寝雁ヶ腹摺山、黒岳、湯の沢峠まで。

ぶなの森へ



小屋平から歩いて十分ほど。一度林道を横切ったところで富士山が現れる。万年雪の筋が細いが力強い線を描く。藍色の富士の嶺は勇壮に見えた。
「今日最後に見る富士山かもしれませんね」
とそこで写真を撮っていた女性の登山者に話しかけられた。
ぼくもそう思いつつ、富士山を見ながら相槌をうった。
今朝出がけに見た天気図と、いまいる山梨の位置からすれば、梅雨前線が、おでこのあたりにあるはずだ。

石丸峠で視界がひらけたところで朝食。朝炊いたご飯でつくったのり弁。
かつぶしご飯に少しオリーブ油を混ぜてみた。海苔が弁当のふたにこびりつくのをたいへん懐かしく思う。思いのほか、風にあおられる。飛ばないように、破けないように、慎重に、海苔をご飯の上に敷き直す。
峠までの登りで一緒になった六十代のおじさんは、既に二つ目の握り飯を食べはじめていた。そして、昨晩から、ここに車での顛末を語り終えて、この夏、北海道に、山に登りにゆくプランを話しはじめていた。

行ったことのない遠 くの山の話を聞きながら、これから歩く尾根を眺めていた。標高二千メートル弱の森の葉の色はどんなだろうか。今朝方までアメリカの降った雨上がりの苔や木々はどのような表情を見せるのだろうかとたのしみにしていた。






TRIPS TO MOUNTAINs
朝四時半起きで猫に朝飯あげながら、のり弁つくって山行へ。二千メートル前後の標高で涼しげに森と富士山を満喫した一日でした。
2017年7月 山梨 小金沢連峰